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CG1
泣きそうな顔をしていた。 瞳いっぱいにたまった涙がいまにも零れ落ちそうだ。 「そんなに痛かったのか?」 「えっと……あ、あの……その……」 ただ話しているだけなのにやけに怯えられてしまう。 なんだこいつ、対人恐怖症か? ともかく、このまま放っておくのはさすがの俺でも気が引ける。 春とはいえそろそろ夕暮れで寒くなってくるのに未だにこいつは水たまりの上だ。 「なにか拭くものとか持ってないのか?」 「は、はいっ……えっと、えっと……あ、ありますっ、ハンカチ……」 「じゃあそれで制服拭けよ。もう手遅れかもしれないけど」 「すみません……」 「俺に謝られても……」 「すみませんっ……」
CG2
目の前に楓の顔があった。 「あっ……」 小さな呟きと共に漏れた吐息が唇に触れる。 「大丈夫か……?」 「あ……あの、あのっ……これは、えっと……」 「ごめん、ね……」 ……。 おいおいおいおい! な、なんでそこで真っ赤になるんだよっ! 『あ、ごめんごめん。ついフライングクロスチョップかましちゃった、てへっ』的な楓はどこに行った!
CG3
「……ん?」 「……」 めちゃくちゃガン見されていた。 な、なんなんだ……。 反応に困っていると彼女が口を開いた。 「屋上に行きたい」 「はあ?」 「鍵開けて」 なに言ってんだこいつ。 俺はなんとなく鍵のかかった扉に目をやり、そして目の前の謎の女子生徒に視線を戻した。 「ここは生徒が立ち入っちゃいけない場所だって知らないのか?」 「知ってる」 「じゃああきらめろよ。だいたい俺に言っても仕方ないだろ」 「……」
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